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ブラディ・ディバッツ
 JSPORTSで「ワンス・ブラザーズ」というドキュメンタリーを見ました。

 これはユーゴスラビア(現セルビア)の元NBAプレイヤー、ブラディ・ディバッツと、ヨーロッパ最高選手だったクロアチアのドラゼン・ペドロビッチの二人の関係を題材にしたドキュメンタリーです。

 このドキュメンタリーは是非多くの人に見てもらいたいです。ドキュメンタリーとしてかなりの傑作です。劇場で公開すべきと思います。

 主役はディバッツですが、民族紛争によって兄弟のように仲の良かったチームメイトが仲違いしてしまう悲しい出来事がテーマとなっているので、NBAファンやそうでない方にもお勧めしたいです。

 トニー・クーコッチ、ディノ・ラジャ、マジック・ジョンソン、ケニー・アンダーソン、クライド・ドレクスラーといったプレイヤー達もインタビューで出演してます。レジー・ミラーもちょこっと映ってました。


 ディバッツといえば、レイカーズ、ホーネッツ、キングスで活躍した名センター。特にキングス時代で全盛期のシャックとやりあってた頃が印象に残ってます。何気に引退時に記事を書いてるので、ディバッツについてはそこを参照してください。


 NBAで輝かしいキャリアを築いたディバッツですが、その裏には知られざる壮絶な体験をしていました。バスケを辞めてもおかしくないと思うんですが、それでもプレイし続けたディバッツは尊敬に値します。

ドラゼン・ペドロビッチ

 もう一人の主役ペトロビッチは、バスケ界のモーツァルト呼ばれ、ヨーロッパの選手で初めてNBAで成功したプレイヤー。しかし、28歳という若くて全盛期に交通事故で亡くなってしまったプレイヤー。

 

 ユーゴスラビアがセルビア・モンテネグロになって、今セルビアというのはバスケファンには周知の事実ですが、クロアチアとスロベニアが元ユーゴってことは知りませんでした。

 クロアチアという国名を知った時(多分クーコッチがきっかけで知ったと思う)、つまりその時点独立してるってことですからね。流石にヨーロッパの国の昔の歴史までは知りませんねー。

 ディバッツがペドロビッチ、クーコッチ、ラジャと一緒にプレイして、1988年ソウルオリンピックで銀メダルを獲得していたのが、一番ビックリしました。なんという豪華メンバーか!ちなみに金メダルはサボニス率いるソ連。


トニー・クーコッチ

 つか、クーコッチとも深い仲だったとは知りませんでした。それにしても今のクーコッチ、メガネに白髪交じりでよりかっこよくなってるじゃないですか。


ディノ・ラジャ

 でも、ラジャは全然変わってないですね。

 

 1989年に社会主義が崩壊し、ベルリンの壁が壊されたのを気にクロアチアが独立を主張し始めた頃、ディバッツはレイカーズ、ペトロビッチはブレイザーズに入団。ディバッツは全く英語ができなかったそうで。それでマジックとプレイとか凄いですなー。

 
 そんなクロアチアやスロベニアが独立を主張する最中、再びユーゴ代表として参加した1990年アルゼンチンでの世界選手権。ソ連相手に見事リベンジを果たし、金メダルを獲得。

 セルビア人とクロアチア人が一体となって手にした勝利に喜ぶディバッツでしたが、そこにクロアチアの旗を持った男が乱入。ディバッツがそいつに「相応しくない」と言うと、ユーゴの旗に対し、汚い罵声を浴びせる。

 するとディバッツはクロアチアの旗を取り上げ投げ捨ててしまった。その場では大事にならなかったが、その後TVに映ったこともあり、ディバッツはクロアチアから非難の的となってしまった。


 この事件をきっかけにディバッツとペトロビッチの仲は険悪に。ペトロビッチは旗の件をよく思っておらず、ユーゴの平和を想うディバッツとは裏腹に、ペトロビッチから突き放すようになった。


 まさかディバッツがクロアチア独立の思考を高めてしまった人物だったとは驚きですよ。いちスポーツマンが、国を揺るがす事態を起こしてしまったとか、どれほどの精神的苦痛を味わったか計り知れませんね。いち民族のほとんどから敵視されるなんて、普通の人間だったらどうかなってしまいますよ。


 結局1991年にはクロアチアとスロベニアがユーゴスラビアから独立。ペトロビッチだけでなく、クーコッチを始めクロアチアの選手もディバッツを避けるようになった。クーコッチいわく、「さけるしかなかった」とのこと。確かに個人としてはそうするしかないですよね。


 それでもディバッツは潰れることもなくNBAでプレイし、1991年にはファイナルに進出。しかし、ジョーダン率いるブルズに敗退。一方ペトロビッチはネッツに移籍し、活躍をし始める。


 
 1992年のバルセロナオリンピックでは、ペトロビッチ、クーコッチ、ラジャはユーゴスラビア代表ではなく、クロアチア代表として出場し、ドリームチームと決勝で戦い見事銀メダルを獲得。



 こちらのDVDでは、その決勝戦がフルで収録されてます。実況は無しですけど、ペトロビッチのプレイが見れる貴重なDVDかと。メインはドリームチームですけどね。

 ちなみにユーゴスラビアは、内戦の責任とかでオリンピックに参加できず・・・。これも知りませんでしたなぁ。つくづく悲運のディバッツ・・・。



 そしてさらに悲しい事件が1993年に起こりました。ペトロビッチはクロアチア代表としてヨーロッパ選手権に参加するためポーランドへ向かいました。

 途中チームメイトと別行動をとり車で移動したが、なんとドイツで事故にあってしまい28歳という若さで亡くなってしまった。そして、ディバッツと和解することもなく、永遠の別れとなってしまった。

 恐らくディバッツに取って一番の悲劇でしょう。いや、もうディバッツかわいそ過ぎますよ。なんでこんな悲しいことばかり起こってしまうんでしょうか。葬儀時はまだ内戦(1995年まで続いた)だったので、参加できず。



 ドキュメンタリーの終盤、ディバッツは20年振りにクロアチアの首都ザグレブへ行き、ペトロビッチの家族に出会い、お墓を訪ねます。

 ということは、ペトロビッチの墓に行くのは初めてになりますね。仲なおりすることは叶いませんでしたが、ようやくお墓を訪ねることができて、なんかディバッツの心が救われた気がします。

 しかし、クロアチアには未だにディバッツを「敵だ」という人もいるのに驚きです。そこまで他の民族を憎む心は全く理解できませんが、そういう輩にはこのドキュメンタリーを見ろって言いたいですね。ディバッツの経験した悲劇を知れば、敵対心なんてでないはず。ディバッツはただ調和を望んだだけなんですよ。

 


 DVDが発売されてますが、海外版です。しかし、本当に見てもらいたい作品です。



ポッチットナ